はじめに
相場格言の古くは江戸期の米相場時代から伝えられてきました。
そんな『相場格言』とは、米相場の先人達の教訓をもとに歴史の中で語られてきた投資の心得や知恵や戒め等を短い言葉にした金言です。
これらの格言は主に株式相場、為替相場の特性や人間心理を実に上手く表現していたり、それまでの経験から未来を見越した助言もありと投資の本質を表すものとして今でも高い人気があります。
ここでは『投資のコツと心構え編 〜投資で負けない為に役立つ格言〜』に関する様々な相場格言を集めてその意味や伝えたい事を解説しています。
是非、相場投資のヒントとしてお役立てください。
一運、二金、三度胸
『一運、二金、三度胸』とは、相場の世界で成功する為には、運、金銭、度胸の3つの要素が必要である事を強調した格言です。
まず、勝つ為の運を味方につけなければなりません。
そして、リスクをとれる余裕なお金が投資には必要です。
最後に、チャンスを逃さない度胸が大事となります。
つまり、相場で成功する為には運を味方にし(一運)、資金に余裕を持ちつつ(二金)、気遅れしない度胸を持って(三度胸)買い向かっていく事も時には必要であり、その3つが揃ってこそ大きな勝利を得る事ができるのです。
ここが相場の転機と見たら『一運、二金、三度胸』を持って勝負しましょう。
相場に待ったはなし
相場は一度仕掛けたら真剣勝負であり、動き始めたらもう待ってはくれません。
そんな相場に向き合う時には全神経を相場に集中させて相場の動きに合わせた迅速な対応が重要であるという意味の格言が『相場に待ったはなし』です。
相場は瞬時に変動し、タイミングを逃すと含み益を失ったり、あるいは、含み損を拡大したりする事があります。
それに準じて、相場の動きを常時注視し、迅速、かつ、適切に取引を行う必要があるでしょう。
相場は真剣勝負なり
『相場は真剣勝負なり』とは、相場を行うに当たっての心構えとなる格言です。
ひとたび相場という真剣勝負に臨んだ際には結果としてそれが失敗に終わったとしても後悔するべきではないという意味でしょう。
相場参加者にとって相場へ真剣に取り組む必要がある事を強調しています。
相場は利益や損失を生み出す競争の場所であり、一旦敗れれば命から2番目のものが消え去ってしまう事になる為、生半可な気持ちで対処してはなりません。
一貫性のない相場師は敗者
『一貫性のない相場師は敗者』とは、一貫性がなく機会や情報に左右されて行動する相場師は結果的に敗者となってしまう可能性が高いという意味の格言です。
目先相場で短時間に儲けようとばかりして相場の動きに流されていると冷静な判断ができなくなります。
それに準じて、まずは投資の方針をしっかりと決め、その目標に集中して売買する事が大切です。
独自の投資方針に自信と確信も持てていない投資家が相場で生き残れるかというとそれはなかなか難しいでしょう。
相場師は自分の取引や投資方針を一貫して守り、自身の戦略を信じて行動しています。
相場は戦いなり、されど戦わずして勝て
『相場は戦いなり、されど戦わずして勝て』とは、相場は生き馬の目を抜く戦場のようなものでありますが、たとえ難しい相場に勝っても特別に人に誇れるものでもない為、難しい相場の時は相場から離れ、静観し、自信のある相場で確実に稼げばいいという意味の格言です。
相場が戦いとされるのは利益を獲得する為には他の参加者と競い合う必要があるからです。
つまり、自分が買い方であれば売り方を、あるいは、売り方ならば買い方を敵にまわしての戦いです。
戦は戦う前に勝つのが筋本道、「敵を知り己を知れば百戦危うからず」と同様に自分と反対の建て玉がどのような状況かを知る事も大切なのです。
始めから損を覚悟で相場せよ、思案しすぎれば時機を失う
『時機』とは、相場での売買チャンスの事です。
相場で損が出る事は避けられないのに関わらず、損を覚悟する事ができずに安全確実な取引を考え込むようになると機を逸してしまい利益を出す事が難しくなるものです。
逆に、ここまでの損ならばと腹づもりして相場に臨めば気持ちが楽になり、時機を捕らえて投資する事ができ利益を出す事ができるものであるという相場での取引や投資において大切な考え方を表している格言が『始めから損を覚悟で相場せよ、思案しすぎれば時機を失う』です。
値動きのあるものに投資する以上、損を覚悟など当たり前の話です。
また、相場だけに限った話ではありませんがやる前からあれこれ考え過ぎると時機を逃してしまうはその通りでしょう。
相場に過去はない
この格言には2つの意味があります。
1つ目は、あの時買ってれば、あるいは、あの時売ってればと後悔しても後の祭りであるという意味。
2つ目は、過ぎた事を悔いても仕方がない為、今後の投資に集中すべきという意味です。
つまり、『相場に過去はない』とは、いたずらに過去の事を思い返すのでなく投資には前向きの姿勢が大切という相場の特性や動向についての考え方を表している格言となります。
いくら過去を嘆いても投資はプラスにはならない為、それより、現在の資産を将来大きく増やす為に今何をすべきかを真剣に考えましょう。
過去の成功や失敗に捉われず、過去を教訓として生かそうという気持ちを持つ事が大切です。
相場に神様仏様なし
『相場に神様仏様なし』とは、相場は時に非情な結果をもたらす事もありますがそのような時にあなたの願いを叶えたり、助けてくれる神様や仏様はおらず、頼れるのは自分自身しかないという意味の格言です。
相場は多くの要素や参加者の思惑に影響を受ける為、神や仏の加護や干渉が存在しないという意味が込められています。
そんな相場で上手くいかない時のピンチから脱出できるのもやはり自分次第であり、お祈りするだけでは何もしていないのと同じ事です。
たまたま流れが変わって損失を回避できたとしても同じ事を繰り返しているといつか取り返しの付かない大損を喰らって退場する事に繋がってしまうでしょう。
相場に王道なし
『相場に王道なし』とは、相場で儲けるのに1つの正しい方法や安易な方法や近道は存在しないという事を意味する格言です。
株式投資は全て自己責任の世界です。
それだけに日常の基礎的な学習と資料収集による研究、すなわち、毎日新聞を読む事はむろんの事、国内外の経済や社会の流れを把握し、自分なりの投資哲学を構築していく事が大切だとこの格言は教えています。
結局、株式投資は証券会社の営業マンやアナリストの意見に頼るのではなくその意見を参考にしながら自分の頭で考え、判断して行動するしかありません。
株式投資の基礎から学び、研究を重ね、実践し、時に失敗しながら経験と努力を積み重ねていく。
その地道な努力の先にしか成功はありません。
自分のスタイルを身につけましょう。
相場に卒業なし
『相場に卒業なし』とは、相場には年齢等の制限が無いかわりにどれだけ経験を積んでも相場を極める事はできず、相場に関連する知識やスキルを継続的に学び、一生勉強する姿勢が必要であるという意味の格言です。
相場は常に変動している為、一度勉強や経験を積んだからといって安心する事はできません。
また、相場をしていればいつでも新しい経験がある事からも相場に卒業はないという事が身に染みてわかるでしょう。
女子が生まれたら桐を植えますがごとくに株を買え
『女子が生まれたら桐を植えますがごとくに株を買え』とは、株式市場においては女性が生まれる事を祝うように株を買う事は良い事だという意味の格言です。
この格言は桐は日本の国の象徴であり、株を買うことも国の経済の発展に貢献する行為であるという思想に基づいています。
また、昔、桐の一大産地である会津地方では家に女の子が生まれたら桐を植え、お嫁に行く時に嫁入り道具として桐で作ったタンスを持たせたという言い伝えがありますが、それを株式投資になぞらえたものと言われています。
辛抱する木に金がなる
『辛抱する木に金がなる』とは、いかなる事にも耐え忍んで努力し続ければやがてはその木に金という実がなるものだと辛抱強くやり抜く事の大切を説いた格言です。
毎日コツコツと努力を積み重ねていく事、相場においての中長期的な相場における辛抱、忍耐の大切さを教えてくれており、いずれ財産を築いていけるようになるというものです。
一方で、日々の値動きに一喜一憂する事なく売買のチャンスを辛抱強く待つ事でいつしか再び上昇に転じて儲ける事ができるという意味の格言でもあります。
例えば、新規で買う場合に押し目を待つ、建て玉の利益を伸ばす為に利益確定を急がない等、相場においては自分の欲望に対してどれだけ辛抱強く待てるかという場面が数多くあります。
しかし、建て玉が含み損になっている時に辛抱強さは必要なくいかに含み損を拡大しないようにするかの対策を急がなければなりません。
自分の欲望や思惑で売買するのではなく相場の流れに沿った売買を心掛けましょう。
相場に淫することなかれ
相場に熱中し過ぎて相場中毒のようになってしまうと負けが込むほどますます熱中して元も子も失ってしまうものである為、『相場に淫することなかれ』とは、相場は愛すれど淫せずとほどほどにしておくべきという意味の格言です。
例えば、アルコール、ニコチン、麻薬等にのめり込んで中毒になって苦しむ人も少くないですが株式投資も欲望や執着を持ち過ぎて打ち込むと中毒状態に陥る事があります。
欲望や貪欲さが入り込むと冷静な判断力が失われたり、無駄なリスクを取ってしまったりする可能性が高まるからです。
常に株式を売り買いしていないと落ち着かない、または、株式投資に熱中しすぎて他の事が手につかないという状態になると要注意です。
話に投資せず物に投資せよ
『話に投資せず物に投資せよ』とは、噂話を信じて投資するのではなく投資判断をする際には確固たる情報や実績、現実の資産に基づいて投資を行うべきだという意味の格言です。
言葉や噂話だけでなく実際のデータや物事の本質に基づいた投資が重要であるという教訓を含んでいます。
噂話は聞き手の受け取り方によって曲解されたり、その話そのものの信頼性が薄い時もあるものです。
自分で調べて納得した会社へ投資するようにしましょう。
遠くのものは避けよ
『遠くのもの』とは、自分があまり得意としていない分野よく分からない(=遠く)銘柄の事です。
よく知らない会社の株を買おうとすると今後の業績を予想するのにも苦労するでしょう。
その場合、たとえその株を購入したとしても売り買いの判断ができない為、失敗する確率が高くなってしまいます。
つまり、『遠くのものは避けよ』とは、株式投資をする時には知識がない分野(=遠く)よく分からない銘柄には手を出すなという意味の格言です。
逆に考えると身近な生活と関連のある会社や実際に利用しているサービスや商品を販売している企業など多少とも知識や親近感のある株(=近い)であればその企業についての情報を入手して売買のタイミングについても判断がしやすい為、投資先として積極的に考えてみて良いと言えるでしょう。
また、株式市場の中には色々な情報や材料がもたらされますがはるか海外でどうこうという種類の材料も多く、仮にそれがデマであったとしても遠いところでは確かめる術もありません。
つまり、目の届かないような不確実な要素やリスクは避ける一手だとも教えている格言です。
虫の好かぬ株は買うな
『虫の好かぬ株は買うな』とは、一般的に嫌われている株や相場の状況が悪いとされる銘柄、自分自身が興味のない銘柄等は買わない方が良いという意味の格言です。
興味のある事業をしている会社や業界については耳に入ってきやすいですし、調べる機会も多い為気付かないうちに詳しくなっているものです。
しかし、興味のない銘柄については今までも見向きもしていない為、どうしても知識が少なくなりがちです。
そのような株を売買するのではなく興味のある株を中心に売買した方が儲けやすいものです。
自分が興味のない株は株主になったとしても気分は良くはなりませんし、その株が値下がりして損失が出てしまった時の後悔は大きいでしょう。
相性のよい銘柄につけ
『相性のよい銘柄につけ』とは、自分が理解し、知識や経験に基づいて選別し、相性が良いと感じる銘柄や相場を中心に売買すれば結果が伴ってくるという意味の格言です。
株を売買していると不思議と相性の良い銘柄と悪い銘柄を経験する事があります。
相性の悪い銘柄は買ったとたんに需給やニュースで急落したり、売る予定の指値まであと一歩のところで反転したりしてなぜかタイミングが合わない事が多いです。
また、前回も負けると今回も負けるのではないかという心理面で消極的になる事で良い結果が得られなかったりもします。
無理に相性の悪い銘柄で利益を狙うよりは相性の良い銘柄で売買した方が得てして好結果になりやすいものです。
美人投票
『美人投票』とは、銘柄や投資商品を見た目の魅力や一時的な人気等、外見的な要素に基づいて選別する事を指す、主に株式市場で使用される隠語です。
経済学者ケインズは玄人筋の行う投資は、投票者が100枚の写真の中から最も容貌の美しい6枚を選び、その選択が投票者全体の平均的な好みに最も近かった者に賞品が与えられるという新聞投票に見立てる事ができるとしました。
各投票者は自身が最も美しいと思う写真を選ぶのではなく、他の投票者の好みに最もよく合うと思う写真を選択しなければならない為、何が平均的な意見になるのかを期待して予測する事になります。
これは、株式投資に関しても相場参加者(=投票者)の多くの人が値上がりするであろう(=容貌が美しいであろう)と判断する銘柄(=写真)を選ぶ事が有効な投資方法であるという事を意味しています。
株式と結婚するな
投資を行う際は銘柄を徹底的に調べ上げて将来を見越して戦略的に行います。
しかし、株式投資は1つの銘柄に固執せずに常に多角的に投資を行うべきであり、1つの銘柄に結婚のような忠誠を誓ってはならないという意味の格言が『株式と結婚するな』です。
株式市場は変動しやすく、銘柄のパフォーマンスも変わり得る為、全ての投資を1つの株式に結びつける事はリスクを高める事になります。
それに対して、投資をばら撒く事でリスクを分散させ、個別の銘柄に感情的になりすぎる事は避けましょうという教訓を示しています。
無駄使いする金あれば相場せよ、長者になれる真の近道
『無駄使いする金あれば相場せよ、長者になれる真の近道』とは、相場で成功したいのならば無駄な事にお金を使わず、相場の為に貯めて資金にすべきだという節約や資産形成の重要性を示唆している格言です。
余剰資金こそが投資資金としては相応しいという意味であり、無駄金を相場に突っ込めと言う意味ではないと思います。
生活に必要なお金や虎の子のお金で投資を行うと正しい精神状態で冷静な判断、決断、実践をするのが難しいものです。
それに準じて、相場には相場に使う為に相応しい資金を用意して取り組むべきです。
そうした事情が許される場合ばかりではないでしょうが平常心で取り組める資金が望ましいのです。
濡れ手に粟はつかめない
いま1つの投資資金量の問題ですが無理な投資は失敗のもとであります。
切迫した気持ちは必ず目を曇らせます。
『濡れ手に粟(アワ)はつかめない』
株式投資は余裕資金で行う事が必須条件となります。
『濡れ手に粟はつかめない』とは、相場とはそういうものと知るべきであり、決して楽して儲ける事はできないという意味の格言です。
大玉を張るを誇りとするなかれ
『大玉を張る』とは、豊富な資金量の事を言っているのではなくその人の資産に対して過剰な金額を相場につぎ込む事です。
つまり、『大玉を張るを誇りとするなかれ』とは、相場での投資や取引において過度なリスクを取る事や過剰な金額を1つの取引に集中させる事に誇りを持つべきではない意味の格言です。
資金が豊富であれば大玉を張る事は可能でしょうがその大玉を手仕舞う事は容易ではなく、また、大玉の重みで自分が潰れてしまう事もあるでしょう。
相場においてよく見られる失敗の1つがこの過剰取引です。
相場は余裕資金でやらないと逆に持って行かれた時に心理的に追い詰められて失敗をしやすいのです。
相場のカネと凧の糸は出し切るな
『相場のカネと凧の糸は出し切るな』とは、相場での取引においてあまりにも多くの資金を一度に投入したり、あまりに高いリスクを取ったりする事を避けるように促す格言です。
凧の糸を目一杯出してあげていると突風が吹いた時に糸を伸ばす事ができず切れて飛んで行ってしまいます。
相場でも同様に、資金の限界までつぎこんで無理をしたり、手持ちの資金に余裕がない状態で投資していると相場が荒れた時などに恐怖から手仕舞いを急いだり、急な現金が必要になって利がまだ伸びそうな銘柄を売らざるを得ない状況に陥る事になります。
また、目の前にあるチャンスを逃す事もある為、投資資金は常に余裕を持っておくべきなのです。
命の金には手をつけるな
『命の金』とは、生活資金等の日々暮らしていくのに必要な負ける余裕のないお金という意味であり、そもそも投資は余裕資金で行うのが大原則です。
しかし、相場で損をするとつい頭に血がのぼり、生活資金までつぎ込む人がいます。
このような資金を使うと勝とうと焦って冷静な判断ができなくなり、損をすれば生活にも支障をきたしてしまいます。
つまり、『命の金には手をつけるな』とは、株式投資は余裕資金でやるべきで思惑がはずれて困るような資金を投入してはいけないという株式投資の最も基本的な心構えを示す格言です。
日々の生活費はもちろん、マイホームの為の頭金や子供の為の教育費、老後の生活資金を投じるのは禁物です。
特に冒険的な売買は絶対避けるべきで失敗して取り返しのつかない事になってしまいます。
資力相応に仕掛けるべし
『資力相応に仕掛けるべし』とは、相場にリスクはつきものであり、見通しが外れれば損する可能性もある為、投資する際には自分が持つ資力に見合った、あるいは、能力に適した範囲で取引を行いましょうという意味の格言です。
自分の投資能力に見合ったリスクを取りながら慎重に取引を行う事が重要であるという事を示しています。
相場は予測不能であり、リスクが伴う為、自分の資力や知識を超えて大きなポジションを取ると大損する可能性が高まります。
しかし、余裕資金でその資力に応じた売買を行っておけば心にも余裕ができるでしょう。
売れば二上がり、買や三下がり、切ってしまえば本調子
『売れば二上がり、買や三下がり、切ってしまえば本調子』とは、二上がり、三下がり、本調子といった三味線の調子(チューニング)の種類に引っかけて相場を皮肉った格言です。
相場では売ると上がってしまい、買えば下がるのが常であります。
そんな時、切ってしまうと冷静になって相場がよく見通せるという意味であり、常に売買をするのではなくたまには相場から離れて冷静さを取り戻す事も大切という事を説いています。
売買をせけばせくほど損をする、 とくと休んで手を変えてみよ
『売買をせけばせくほど損をする、 とくと休んで手を変えてみよ』とは、相場の変動に乗り遅れまいとせっかちになって勘に頼って売買をするのではなく一旦手を休めて冷静になり、投資する業種や銘柄を変えたりして視点を変えてみる事も必要だという意味の格言です。
相場には損益を左右する要因が数多くあり、焦りや衝動に駆られて頻繁に取引を行うと損失を招く可能性が高くなります。
さらに、損失が嵩んでくるとなんとかそれを取り戻そうとする焦りから値頃感の不用意な売買をしてさらに大損を招いてしまうものの為、一時的に休憩し、冷静な判断をし手法を変える事が重要です。
売るべし、買うべし、休むべし
株は買ったり売ったりする事で利益を狙う投資です。
それに準じて、常に何か注文を出し、売買をしていないと儲からないという考えから売買ありきで注文を出してしまう投資家もいます。
しかし、取引は毎回上手くいくわけではありません。
常に売買を繰り返していると客観的に相場全体が見えなくなり、冷静に判断ができなくなってしまいがちです。
そこで、年がら年中売ったり買ったりするのではなく時には休み、一歩退いて相場の環境や動向を冷静に外から見渡す事も大切な要素であると説くのがこの『売るべし、買うべし、休むべし』です。
売買している時はもっと儲けたいと思ってしまうのが人間心理。
損をすればすぐに取り返したいと思い、休む事なく取引を続けてしまいがちですがそのような時こそこの格言を思い出すようにしましょう。
休むも相場
投資には売り、買い、休むの3つがあり、常に売ったり買ったりするだけが投資ではありません。
株式投資は相場が開いている間ならばいつでもできますが四六時中売買を繰り返して値動きなどを追いかけていては客観的に全体の相場観を見失ってしまう場合も多く、大きな損失を出す場合もある為、それを戒めるのがこの『休むも相場』です。
冷静さを失わない為にも時には相場から距離を置いて取引を控え、冷静に相場をみる事も大切でしょう。
休む事で再び相場を客観的に見る事ができるようになり、冷静さを取り戻す事ができるようになるのです。
動きが激しい時はいったん休んで次の投資チャンスに備える時間と割り切りましょう。
特に損をしている時ほど相場を休む必要があります。
迷わば休むべし、相場は常にあり、決すれば進むべし機は瞬間に去る
『迷わば休むべし、相場は常にあり、決すれば進むべし機は瞬間に去る』とは、相場は明日もあるので相場の流れが見えにくく迷った時には休みなさい、また、好機が訪れている時間は短いのでいざ行くと決めたら迷わず買いなさいという意味の格言です。
相場に対して自分の中で迷いがある時には無理に売買をしようとせず休んで見ている事も大切であり、迷いを引きずりながら売買しても上手くいかないものです。
また、取引のチャンスは短い時間で過ぎ去る事もある為、迷わずに決断し行動する事が重要であるという事も示しています。
休むほど相場の極意他になし
人は少し儲かると気が大きくなり、自らの腕を過信して休む事を知らずに売買を繰り返してしまいます。
もっと儲けたいという欲望が加わる事でつい深追いをしてしまうのです。
しかし、ここで手を休める事が次の勝利を呼び込む最上の策であると説いたのがこの『休むほど相場の極意他になし』です。
効率は悪いように見えますが地に付いた売買が成功の素となります。
また、判断に迷う時も休むべき時期と知る事も大切です。
回転売買は事故のもとです。
利食い金には休養を
『利食い金』とは、利益を出す為に投資に使われる資金の事を指します。
最高の投資で大きく儲かった後は気分も高揚し、自分は株の天才じゃないかと勘違いしてしまうものです。
しかし、相場では不思議と大きく儲かった後に大きく損するものです。
そこで、『利食い金には休養を』とは、上手くいって大きく儲けた後は気が大きくなって無理な売買をしがちな為、一旦休みを入れて冷静になりましょうという意味の格言です。
冷静で謙虚な気持ちで相場と向き合う為に大儲けした後は休養を取り、気持ちを引き締め直す事が必要なのです。
休むとはただの休みと思うなよ、次の仕掛けのもととなるなり
『休むとはただの休みと思うなよ、次の仕掛けのもととなるなり』とは、相場を休むという事は心身の休養はもちろんの事、売買から離れて冷静に相場を見る事で戦略を練り、次のチャンスを窺う重要な時間でもある為、相場を休む事も大切であるという意味の格言です。
休む事で相場の動向やチャンスを見極める準備を整える事ができるのです。
株式投資の効用は、内外の政治、経済、社会情勢等を研究する事もその1つであります。
売買を休んでいる間にこれらを大いに勉強して次の投資に備える事、そういう投資態度をこの格言は求めています。
相場は値段の高低にして、その高きを売りその安きを買う
「投資とは値段の高いところで売り、安いところを買う」これが売買の基本だという意味の格言が『相場は値段の高低にして、その高きを売りその安きを買う』です。
成功する相場師は相場の上昇相場や下落相場を見極めて適切なタイミングで売買を行うものです。
しかし、これがなかなか難しいもので安いと思い買ってもまた下がるし、追いすぎると反発して買い時を逃してしまいます。
あるいは、高いと思って売るにしても欲をかいてもたもたしている間に下がってしまい損切りする羽目になってしまう事も多々あります。
買いは安い日に限り、売りは高い日に限る
『買いは安い日に限り、売りは高い日に限る』とは、格言の如く、株や商品等の取引において購入するタイミングは安い日に買って高い日に売りなさいという意味の格言です。
このように利益を最大化する為には価格の変動を利用して安く買い、高く売る事が重要です。
相場で儲けるには当然の話ですが実践できずに失敗してしまう事も度々あります。
常に銘柄の研究を怠らず、また、全体の流れも確認した上でこの格言を実践していくような心構えが大切です。
目先観で投資するな
『目先観』とは、短期の相場見通しの事を指します。
投資を行う上で何度か成功体験を積んでくると人は味をしめて勢づき、目先観で投資をしてしまいがちでありますがそのような時ほど失敗する事が多いものです。
それに準じて、『目先観で投資するな』とは、経験を積んでも目先観で相場を張らず、大局で判断する事を忘れてはならないという意味の格言です。
特にあや戻しを取りに行く建て玉は絶対に避けましょう。
運を待つは死を待つに等し
『運を待つは死を待つに等し』とは、買い玉を持ったままで何もしないでただ上がるのを運頼みするような取引で成功を収める事は難しく大損を待つに等しいという意味の格言です。
上がると思って買った後に上昇が続いていればそのまま待つ事も利益拡大に有効ですが逆行してしまった時に損切りをしないで反転上昇をひたすら待つ事は大きな損失を被る事があります。
思惑が外れた時は潔く損切りをした方が損失の拡大を防げますし、また次の取引にも繋がるのです。
マグレ当りにて儲けし金は他人の金を預かったと同じ
『マグレ当りにて儲けし金は他人の金を預かったと同じ』とは、運よくマグレで儲けたような金は自分の実力で儲けた金ではない為、相場で負けて返すようになるものであるという意味の格言です。
相場ではたまたまマグレで儲ける事がありますがそれは狙った上での儲けではなくただただ運が良かっただけなのです。
そのような形で儲けたお金は身に付かない為、その後の無理な取引で失う事も多いです。
一徹張りは貧乏神
『一徹張りは貧乏神』とは、1つの投資手法にこだわっていると全体の流れを見失って最終的には失敗に陥ってしまうという意味の格言です。
相場は毎日変化していて流れや動きは同じものは1つもありません。
ある投資手法で上手くいってしばらく同じ手法で儲けが出ていてもある日突然その手法が通用しなくなる事がよくあります。
失敗したにもかかわらず上手くいった経験にとらわれて同じ手法を繰り返す事は損失を拡大する場合もある為、頑なにこだわるのではなく常に柔軟性と臨機応変さを持って相場に取り組みましょう。
危うきは避け、疑わしきは待つべし
『危うきは避け、疑わしきは待つべし』とは、相場の方向性が見えにくい時やリスクが高く不確かな場面では無理に売買をしないで待って様子を伺う方が賢明であるという意味の格言です。
材料が出て上にいくのか、あるいは、下にいくのかわかりにくい時や相場が荒れている時に無理して入ると逆に持っていかれて建て玉を引かされたりする事があります。
そのような時は相場の方向性がわかりやすくなったり、嵐が収まるまでは手を出さずに様子を見て投資機会を伺う方が結果的には儲けに繋がりやすいです。
つかぬはやめよ
『つかぬ』とは、運が無い時の事を指します。
『つかぬはやめよ』とは、自分が手に負えないような相場や売買で上手く利益が出なくて運がないと感じる時は相場を休みなさいという意味の格言です。
相場で常勝する事は誰しも難しくスランプになって自分の考えと相場の流れが合わない時があります。
そのような時に無理に取引をすると負けを呼び込み、悪循環に陥ってしまう事にもなります。
つかないと感じるような時は休むのが良策でしょう。
一寸待て、飛びつき買いと狼狽売り
『飛びつき買い』とは文字通りですが、『狼狽売り』とは、何らかの情報によって心がパニックを起こし、判断力を失った状態での取引です。
冷静沈着がトレードの基本ですがそれが難しい相場局面は何度も現れます。
何の下調べも無しで目先の動きにつられて予定外の飛びつき買いをするのは思わぬ損失を招く要因となります。
また、突発的な下落に対して慌ててパニックになると事態はさらに悪くなる為、『一寸待て、飛びつき買いと狼狽売り』とは、一度落ち着いて考えてから行動に移すべきであるという意味の格言です。
相場の流れや状況をじっくりと見極め、冷静に判断する事が勝利への近道とされています。
飛びつく魚は釣られる
『飛びつく魚は釣られる』とは、出遅れて売買のタイミングを逸した時に焦って相場に飛び付くと失敗するという意味の格言です。
相場では売買のタイミングを逸してしまう事は往々にしてあります。
そのような時は焦る事なく冷静になって次のタイミングを待つぐらいの心の余裕が必要です。
相場は明日もありますし、その銘柄にこだわらずに別の銘柄でチャンスを狙ってもよいのです。
「慌てる乞食は貰いが少ない」、「焦りは禁物」という事わざもあるように焦った気持ちでは上手くいくものも行かなくなり、それは相場だけでなく何事にも当てはまるのです。
思いつき商い後悔の因
『思いつき商い後悔の因』とは、相場での取引や投資を思いつきや衝動的な判断で行うと後悔する事が多いという格言です。
相場は思いつきで勝てるほど単純なものではなくちょっとした情報や相場の上下に惑わされて飛びつき売買しても余程のタイミングでなければ利は出ないものです。
しかし、投資をやっているとあまり根拠もないのに思いつき的に取引を行なってしまう事が時々あります。
そういうところで手を出した結果上手く行ったりすると思い付きの商いを繰り返す事になりかねません。
相場は真剣勝負の世界。
思いつきや気まぐれで仕掛けると必ず痛い目に遭うのがオチです。
意地商いは破滅の因
己を知る事、己の弱さを認める事というのはなかなか勇気がいるものです。
買った株が値下がりしてしまってもそれをなかなか認める事ができず塩漬けにしてしまっている投資家は数え切れません。
そんな時、相場と逆に行った建ち玉を意地になって持っていては適切な判断ができず、その弱さが先々に大きな破滅を招いてしまう事を説いた格言が『意地商いは破滅の因』です。
相場は自分の思う通りには動いてくれません。
買った株が下げたのであれば素直に相場に従い、潔く損切りをしましょう。
そして、なぜそうなってしまったのかを検証して次に臨む事が最も成功への近道なのです。
腹立ち商い致すべからず
『腹立ち商い致すべからず』とは、自分の思惑と違った方向に行った時に腹を立てて感情に任せた無理な取引をしてはいけないという意味の格言です。
感情に左右された取引は冷静な判断が難しく結果として失敗する可能性が高まる為、注意が必要です。
心が乱れていては上手くいくものも上手くいかなくなってしまいます。
それと同じで相場で儲けるには自分自身が冷静に判断できる事が必要不可欠です。
難平商いは怪我の因
『難平』の難とは損の事であり、平は平準化するという事であり、『難平商い』とは、保有株が下落した場合、その銘柄をさらに買い増す事によって株の平均取得単価を下げる手法の事です。
これが『難平買い下がり』で、信用取引で売った後、思惑に反して値下がりした場合、さらに信用売りする事を『難平買い上がり』と言います。
そもそも、難平をする時には当初の予想が外れた時であり、損を少なくしたい気持ちや焦りが加わる為に早すぎる場合が多いのが常です。
つまり、『難平商いは怪我の因』とは、自分の買値より相場が下がった時に難平して逆転を狙う事は逆に大損する原因になるという意味の格言です。
難平は下げ相場なのに逆張りで買いを入れるというトレンドと逆行した売買であり、また、下げ止まった状況でなければ更に下げが続いて投資資金が大きくなった分損失が拡大する可能性があります。
自分の考えと逆に相場が動いて損になった時には間違いを認めて損切りした方がよくたとえ難平で上手くいったとしてもいつか大きな損失を喰らう事になります。
それに準じて、買った株の株価が下がったら我慢でもなく難平買いでもなく早めの損切りが得策です。
両建て両損
かなり相場に練達した人がやる投資方法に両建て(信用取引で売りと買いを同時に行う事)があります。
しかし、上げ下げを上手くつかんで2つながらに利益を上げようと思うのは非常に難しくしっかりした相場観を持っていないと利益を残しにくいです。
多くの場合、両建てをして買い玉、売り玉を上手く外して利益を出そうと思っても結局はトータルで損失になってしまう事が多いとの事です。
そこで、『両建て両損』という戒めの格言が出てきます。
そもそも難易度の高い両建てで利益を出せる人ならば片張りでも十分勝てる実力がある為、わざわざ両建てをする必要はないのです。
大取りよりも小取り
『大取りよりも小取り』とは、相場での取引や投資において大きな利益を追求するよりも相場の小取りの機会を大切にし、小さな利益を継続的に積み重ねる方が重要であるという意味の格言です。
つまり、欲張って大きな利益を追い求めると失敗しやすく小さな利益を確実に積み重ねる事で持続的な利益を得る事が望ましいという意味です。
また、大相場を狙う事も大事ですがチャンスはそう多くはありません。
一気に大儲けするよりも計画的に稼いで為ていく方が確実、かつ、リスクも少ないものです。
下手に出て黄金を得るが上手なり、相場上手に大儲けなし
『下手に出て黄金を得るが上手なり、相場上手に大儲けなし』とは、小手先の器用さだけでは相場で大儲けする事はできず、チャンスを待ち続ける辛抱強さが必要であるという意味の格言です。
相場で成功する為には控えめに行動する事が重要である事を意味しています。
自分が上手と思ったり、他の人に興味を示される事で大きな利益を得る事は滅多になく謙虚さや慎重さが相場上手の鍵となる事を示唆しています。
いかに待つかを知る事―それこそ成功の秘訣
『いかに待つかを知る事―それこそ成功の秘訣』とは、相場で成功する為には冷静に待つ事が重要であるという意味の格言です。
年柄年中、相場を追いかけているとそれほどの仕掛け場でなくとも仕掛けてしまうものです。
しかし、相場は毎日働くものの為、相場の方向性やタイミングを見極めて自分の仕掛け場と思われるの時が到来する事を待ちましょう。
焦らずに待つ事で相場の流れを見極める力を養う事で成功に繋がる可能性が高まります。
商いは急がず時を待て
『商いは急がず時を待て』とは、相場で売買をする時の焦りは禁物であり、仕掛けるタイミングを逃したと思ったら次のタイミングまで待つべきという意味の格言です。
また、人は勧誘されるとすぐ仕掛けたくなるものですが決してそういう商いをしてはならないという意味でもあります。
投機というのは機に投ずるものであって投ずべき機はそうそうあるものではないのです。
待ちて逃がすはよし、いら立ちて損するなかれ
『待ちて逃がすはよし、いら立ちて損するなかれ』とは、チャンスをじっくり待った結果、それを逃しても損はしませんがチャンスでもないのに焦って相場に手を出してしまうと大損してしまうよという意味の格言です。
相場でチャンスを待ちつつ見ているだけというのは辛いものです。
しかし、相場は逃げていかない為、焦らず投資のチャンスが来るまでじっくり待ち、タイミングを捉える事が大切です。
我慢できなくなってチャンスでもないのに自分の中で無理に理由付けして売買をしてしまうと上手くいかないからです。
好機が到来するまでいつまででも我慢できるのが相場巧者です。
一日の相場を考え、商いいたすはよろしからず
『一日の相場を考え、商いいたすはよろしからず』とは、1日だけの相場の変動やトレンドの強弱で判断して売買するのではなく全体の流れを把握して売買しなさいという意味の格言です。
相場にはうねりがあり、強い日や弱い日があります。
例えば、下降相場なのにたまたま買い戻しが優先している日の動きを見て買ってしまうと即日から再び下げ基調になって結果的に高値掴みになってしまう事等もあります。
長期的な展望や市場の基本的な動向を考慮し、慎重な商いを心掛ける事が重要です。
売り買いは3日待て
投資を始めると買おうと思ったのにチャンスを逃してしまったという事や焦って買ったらすぐに相場が下がってしまったという事が起こりがちです。
『売り買いは三日待て』とは、売りたい、あるいは、買いたいと思い立ったら、すぐには実行に移さず、三日待ってからそれでも同じように売りたい、あるいは、買いたいと考える事ができてから実行に移せば良いという意味の相場格言です。
じっくり研究せずに思い立った時にすぐ売買すると後悔する事がよくある為です。
また、材料が出てもろくに調べもせずに飛びつくなという教えでもあります。
一時の感情で売買をせず、常に客観的に相場を見る事が大切です。
もうはまだなり、まだはもうなり
『人の行く裏に道あり 花の山』と並んで格言の双璧といっていいほどよく口にされる格言です。
『もうはまだなり、まだはもうなり』とは、もうそろそろ底だと思えるような時はまだ下値があるのではないか、あるいは、まだ下がりそうだと思っている時にはもう底なのかも知れないという意味の格言です。
つまり、微妙な相場の変化に対して自分だけの独善的な判断を振り回す事がいかに危険であるかを説いたもので足元の株価をみる上で非常に参考になります。
心の中でまだ買うのは早いと思っている時に相場は上がっていき、まだ上がるだろうと思っていると下がってしまうといった経験をお持ちの方は多いでしょう。
投資家の心理と相場の行き違いをズバリ言い当てた格言として実用価値は十分にありそうです。
獣を追うもの、目に大山を見ず
『獣』とは、利益の事であり、『大山』とは、相場全体を指します。
『獣を追うもの、目に大山を見ず』とは、目先の獣ばかりを追いかけていると大山にある様々なリスクが見えなくなる為、視野を広げて取引しなさいという意味の格言です。
これは利益を得ようと夢中になっている者は周囲の情勢に気付かない事の例えです。
目先の利益を確実に取っていく事は重要ですがそればかりを追いかけていると相場全体の流れ等に対する注意が疎かになりがちです。
それに準じて、常に大きな流れを把握しながら客観的な分析と判断で取引をする事が大切です。
木を見て森を見ず
『木』とは、個別の銘柄、『森』とは、相場全体を指します。
『木を見て森を見ず』とは、個別銘柄や一部のセクターの株の動きだけを見ていると全体相場の流れを見失ってしまうという意味の格言です。
また、その逆に相場全体には注意を払うが個別銘柄の選別は疎かにする事の喩えで木と森のどちらも重要であるという意味の格言でもあります。
つまり、局所的な情報に囚われず、全体の流れやパターンを見極める事の重要性を示唆しています。
これは相場の格言というよりは諺で、物事の一部分や細部に気を取られてばかりいると全体を見失ってしまうという意味です。
何事も大きな流れは頭に入れつつ小さなものにも気を使う事が大切なのです。
目先だけでなく大局を見ましょう。
漁師は潮をみる
『漁師は潮をみる』とは、漁師は潮の流れを見てどこでどの魚が取れるのか、どれくらい取れるかを判断して漁をしますがそれを株式投資に当てはめた格言です。
漁師は漁場を探す時に気象や潮の流れを見て決定するそうですが経験豊かな漁師は気象の他に潮流の微妙な変化を読み取って出漁の機会を掴むものです。
これは株式投資でも同様に相場の流れを見て上手く波に乗らなければなりません。
さらに、経験を積めばちょうど潮が満ちてくるのを感じるように上げ相場の到来を予知できるようになるといいます。
それは単なる勘ではなくこれまでの経験や多種多様の指標や材料を的確に分析した結果というべきです。
また、投資対象の選択よりも投資の時期を選ぶ事の方がはるかに大切だという事を教える格言でもあります。
漁師も潮時を間違うと命取りとなるように同じ優良株でもやはり買い時を誤ると結果は思わしくないものになるからです。
漁師も相場も流れを読む事が成果に繋がります。
待つは仁、向かうは勇、利乗せは智の徳
『待つは仁、向かうは勇、利乗せは智の徳』とは、相場においてはチャンスを待ち、機が訪れた時には勇気を持って買い向かい、相場の波に乗って更に利益を大きくせよという意味の格言です。
この格言は江戸時代の米相場師である牛田権三郎の三猿金泉秘録の中にある言葉で「高きをば せかず急がず待つは仁 向かうは勇 利乗せは智の徳」です。
待つ事、勇気を持って買う事、利益を伸ばす事という相場で儲ける為にはとても大切な事を簡潔ながらも深みのある言葉で言い表している格言です。
一生涯の機会はその機会の存在中に利用せざるべからず
『一生涯の機会はその機会の存在中に利用せざるべからず』とは、絶対的なチャンスを迎えた相場、あるいは、自己の思惑通りに動く相場に出会う事があるのであればその機に乗じ全力を傾けなければならないという意味の格言です。
余程の人でもなければそうした機会は滅多に見い出せるものではありません。
俗にいえば「ツイたらツキに乗れ」という事でありましょう。
放置すれば絶好の機会は逃げてしまい、後悔する事になるかもしれません。
年の内、三度より商い場なし
『年の内、三度より商い場なし』とは、儲けのチャンスとなる相場は年に三回ほどでそうそうあるものではない為、その時期をじっくり狙うというのが大切であるという意味の格言です。
現在ではインターネットでリアルに売買できる為、小波でも売買しやすいですが大きく儲ける事ができる大波の局面は年に数回しかありません。
絶好の機会を逃さないようにする為には相場の変動を常に注視し、適切な時期に行動する事が重要です。
好機を逃さない事が通算成績の向上に繋がるのです。
相場の実践に当たって一番大切なのは断の一字
『断』とは、決断の事を指します。
相場を実際にやってみると理屈では一応理解しているもののなかなか判断できない事が多いものです。
しかし、売買する時は素早く決断をする以外にはなくどんな時でも最後は自分の決断にかかっているという意味の格言が『相場の実践に当たって一番大切なのは断の一字』です。
その為には日頃から理にかなった決断ができるように日々の経験と研鑽を積み重ねておかなくてはなりません。
有効な判断と決断ができないと感じるのであればトレードは頼りないものとなるでしょう。
備えあれば迷いなし
株式投資で最も大切な事は売買に際しての事前の準備や計画、確固たる自信と決断です。
十分な情報収集や分析、リスク管理等を行っておく事で迷いや躊躇せずに適切な判断をする事ができます。
そんな地盤が軟弱であれば相場の揺さぶりに負けてしまい、適切な処置はできなくなるのが通例です。
しかし、投資先を事前にしっかりと調べて自信を持っていれば投資した後の株価の動きが多少不安定であったとしても目先の動きに迷わされず多少の揺さぶりにも迷いや焦りは少なく動揺しないものです。
つまり、『備えあれば迷いなし』とは、株式投資をする時は事前に情報収集や分析などの準備をしっかりと行った上で自分の相場観に自信を持って迷いなく相場に参加する事が大切であるという教えを説いている格言です。
何時にても相場は動くものぞかし、保合時も心許すな
『何時にても相場は動くものぞかし、保合時も心許すな』とは、相場は動機づいて来る急に大きく動く事がある為、一時的な保合いの中でも油断してはいけないという意味の格言です。
低迷相場でも水面下では動きがあるという意味でしょう。
乏しい動きの中にも次の方向を探る動きがあったり、動き出したいエネルギーが停滞感を意識して抑制されていたりという事があると考え、どんな状況でも注意を怠らずに対応すべきです。
保ち合いの時、慰みに商い仕掛まじきこと
『保ち合いの時、慰みに商い仕掛まじきこと』とは、保ち合い相場で我慢できずに売買をしてはいけないという機会を忍耐強く待つ事の大切さを説いた格言です。
保ち合いから離れると早い動きの上に大きく動く傾向がある為、待っている事に我慢できなくなって買いや空売りを仕掛けてしまうと突然思惑とは逆の保ち合い放れが起きて泥沼の長期戦や大きな損失を招いて後悔してしまいます。
待つ事も相場の為、相場が一時的に低迷している時には無理して取引を行うよりも冷静に相場の動向を見守るべきです。
保ち合い相場で大玉の仕掛けは禁物
『保ち合い相場で大玉の仕掛けは禁物』とは、保ち合い相場を離れると大きく動く為、様子見か少額での売買だけにして大きな金額を張る事はやめなさいという意味の格言です。
保ち合い相場では価格が上下する可能性が低く相場の方向感が不明瞭です。
そんな本当の上げ下げ相場ではない保ち合い中に大きな金額で仕掛けてしまうと逆に持っていかれた時に大きな損失を招く事になりかねません。
それに準じて、静観して様子を見ているか、または、その動きの中ですぐ処置できる少ない金額で慎重な取引を行う方が得策だという事です。
相場に向ふべからず、機にのるべし
『機』とは、相場での買い時、売り時等の事を指します。
『相場に向ふべからず、機にのるべし』とは、相場の基本は上昇や下降の波に乗る事が重要であるという意味の格言です。
相場の流れに逆らった売買は避け、相場の変動のタイミングに合わせて行動する事が重要であるという事を教えています。
相場の流れに乗る事で利益を最大化したり、損失を最小限に抑える事ができるからです。
相場の機を人より早く感じ取り、変化の兆しが見えたら新しい流れに乗る事が大切です。
大相場では、買いに歩があり
大相場に発展した場合は買えば儲けが出る事から相場参加者も増えて大量の買い注文が集まり、買い気の強い相場が長く続く傾向があります。
そんな大相場では買いの方が有利の為、『大相場では、買いに歩があり』とは、早売りを控えて相場の上昇に乗りなさいという意味の格言です。
そこで早くに売ってしまうとその先の更なる上昇を逃す事になってしまいます。
相場巧者は利食いのタイミングを上手く見極めるものです。
利があればどこからかくる金の蛇、われも人もと買いの行列
何年に一度あるかどうかという大相場は買えば誰でも利益が見込めると分かると多くの人々が買い注文を出し、相場には買いの行列ができる事で大量の投資資金が流入し、相場が更に上がるという循環を繰り返すような状況が生じる事を指しています。
『利があればどこからかくる金の蛇、われも人もと買いの行列』とは、このような大相場には下手に逆らってはいけないという意味の格言です。
このような人々が買いに走る様な相場の勝勢には素直についていきましょう。
仕掛けは恐る恐るしかも大胆に
『仕掛けは恐る恐るしかも大胆に』とは、株の売買は仕掛けのタイミングが重要な要素であり、仕掛けのタイミングには慎重の上にも慎重を期す必要がありますが同時にここぞといういざ仕掛け時には大胆に攻める事が必要であるという意味の格言です。
相場は自分のお金が動く為、慎重にするべきですがリスクを取らなければ良い投資の機会や儲けを掴み取る事はできません。
絶好の好機が到来する事は頻繁にあるわけではなくその時にはリスクを背負わなければ儲ける事はできないのです。
大切なのは大胆に売買するタイミングを見極める目を持つ事です。
最後の五分間より最初の五分間
相場は最初の仕掛けが最も大事なものであります。
他の物事ならば最初の五分間よりも最後の五分間を頑張れば大概上手く行くものでありますがこの道ばかりは相場の取引時間における最初の五分間が命取りにもなりかねないという意味の格言が『最後の五分間より最初の五分間』です。
仕上げよりもどこで仕掛けるか、そのタイミングは非常に重要であり、相場においてはそれが特に言えるわけです。
特に最初の仕掛けには用心しなければなりません。
二度に買うべし、二度に売るべし
相場の動きは自分の思惑通りに動く保障はなく最高値だと思って売ってもそれより上がったり、これが最安値だと思って買っても大底はもう少し下だったりする事は日常茶飯事です。
それに準じて、いきなり大きな金額を投じて売り買いするのではなくまずは様子見で少しだけ売ったり買ったりして自分の判断の正否を確かめながら二度に分けて買い、二度に分けて売りなさいという意味の格言が『二度に買うべし、二度に売るべし』です。
『打診買い』や『打診売り』とも呼ばれています。
つまり、打診をして自分の判断の当否を確かめてみた結果、予想通りであれば本格的に売買しても十分に間に合うはずであるという考えです。
同時にこの教訓は一度目の買いで得た自信と確信が二度目の買いを力強く支え、したがって、思い切った行動がとれる基盤となる効用も説いています。
投資戦略としては投資資産の半分でまずは買い、その後どうするかは相場の動向を見定めながら決めましょう。
石橋を叩いて渡るがご時慎重さが株式投資には何よりも必要となり、『二度に買うべし 二度に売るべし』は、その慎重さを説いた格言であります。
この慎重さをもって臨めば最初の投資判断が間違っていた時に発生する損失を回避する事ができるようにもなります。
売りは早かれ、買いは遅かれ
株式投資では買いは易しいが売りは難しいといわれています。
この売りが上手になれば投資家として超一流の力量と認められるほどです。
その理由は『天井三日 底百日』という格言の如く、買い場は随所にありますが売り場は短いと言えるからです。
それだけに買いはじっくり構え、売りは一瞬のチャンスを捉え、迅速に行動すべしという事を説いた格言が『売りは早かれ、買いは遅かれ』です。
とにかく利が乗っていればそれがいかに少なくても利益を現実のものとして手中に収め、それを投資資金に繰り入れ、次の機会を狙う心掛けが株式投資の世界では大切なのです。
買い上手より売り上手
『買い上手より売り上手』は2つの意味を含んでおり、1つ目は、下げ相場は上げ相場よりもスピードが速い為、短期間に効率的に利益が出せるという意味です。
2つ目は、買う時には欲に背中を押される為に買い時を迷う事は少ないですが売りの時は利食いにしろ、損切りにしろ建て玉の決済を余儀なくされる為に売り遅れてしまう事があるなど売りは買いよりも難しく、上手に売る人は相場巧者であるという意味があります。
売り時を見極める事で損を最小限に抑えたり、利益を最大化する事ができるとされています。
一文逃しの天底逃し
少しでも安く買い、あるいは、少しでも高く売りたい、一円でも多く儲けたいと思うのは人の常です。
しかし、目先のわずかな差ばかりに気をとらわれてしまうと結局は天井や底付近いった絶好の機会を逸してしまう事の弊害を戒めた格言が『一文逃しの天底逃し』です。
天底で売買できる可能性の低さを考えると欲張りすぎるのはよくありません。
投資において目先の事ばかりに気を取られていると大きな流れを見失って大損する事もあるからです。
常に大きな流れはしっかり把握しておきましょう。
建玉の損益計算すべからず、利食い急がれ損は見切れず
建玉した時にその損益を計算しだすと損益が気になり、利が乗っていれば早めに手仕舞いたくなり、あるいは、損をしていれば戻りを期待して損切りの機会を見失い結局は利は薄く損をしてしまいます。
それに準じて、『建玉の損益計算すべからず、利食い急がれ損は見切れず』とは、目標とする値段になるまで何も考えずにひたすら我慢する事も大切であるという意味の格言です。
相場は常に変動し、利益を大きく伸ばす可能性もある為、冷静な判断を持ち、損失を最小化しつつ潜在的な利益を見極める事が重要です。
建値を忘れよ
『建て値』とは、信用取引の売買値の事を指します。
『建値を忘れよ』とは、建値を意識し過ぎると現在の損益に迷いが生じてしまう為、忘れてしまいなさいという意味の格言です。
これは短期売買ではなく長期投資でじっくり値上がり益を狙う投資に当てはまる格言であり、今後業績が伸びると企業の将来を見込んで買った株であれば日々の株価に一喜一憂せずに建値を忘れて目先の損益を気にしない事で大きな果実を手に入れる事ができるという考えです。
長期投資の株を買った時は建値を意識し過ぎて現在の損益に惑わされると長期投資の正確な判断に支障をきたす為、建値を忘れてじっくりと構える事が大切でしょう。
買い気をはさんで売る事、心得違い
上昇相場では何度か押し目を作ります。
その押し目の下げで儲けようとして売りで入ると売った後に急騰するケースも多いです。
このように『買い気をはさんで売る事、心得違い』とは、上昇相場で買いで取れると思っていながら売りで短期に小銭稼ぎをしようすると大損していくきっかけに繋がるという意味の格言です。
上昇相場と考えているのであれば押し目を待つ事が必要でトレンドに逆らう事は禁物です。
指し値を取り消すな
迷いの最たるものに指し値(値段を指定する注文)の取り消しがあります。
相場の動きにつれて自分の判断に対する自信が揺らぎだし、つい取り消してチャンスを失うというケースが多いのです。
そこで、『指し値を取り消すな』という格言が生まれました。
最初から綿密な調査と冷静な判断があれば簡単に指し値を取り消す事もありませんが相場は常に動いている為、誰でも目先の上下に迷わされて指値を変更したり、ある銘柄を買った後でまだ上がるのではないかと欲を出したりしてしまいます。
つまり、例えば、時価より少し低い値の買い指値で注文を出して見たものの相場が下がって商いがつきそうになるともっと安い値で買えるのではないかと思って指し値を下げたり、相場の動きにつれて自分の判断に対する自信が揺らぎだすとつい指値を取り消して狼狽売り、狼狽買いをしてしまったりする投資家が多い為、これを戒めるような格言です。
一円でも安い値で買いたいのが投資家の心理ではありますが値段を買うのではないと教えているわけであります。
むろん、指し値が的確かどうかは別の問題でありますが。
上げにつれ買い玉細くすべし
『上げにつれ買い玉細くすべし』とは、上昇相場に乗って買い増しをする時には新規建て玉を少なくしなさいという意味の格言です。
今ある建て玉に更に買い増しする場合、最初に少なく徐々に大きく買い増しをしてしまうと利益は最初に買った僅かなポジションによって支えられている為、意に反して相場が下がると直ぐに利益が飛んでしまいます。
それに準じて、リスク管理の観点からは上昇初期に大きな建て玉を持ち、買い増しでは細かく建てていくのが理想形です。
しかし、あまり大な建て玉を最初に持つのはリスクも高くなってしまう為、注意も必要でしょう。
利乗せは最後にやられる
『利乗せ』とは、上昇すると思って買った銘柄が含み益になり、大きく儲けようと考えて更に買い増す売買方法の事を指します。
人の欲は限りがありません。
それに準じて、『利乗せは最後にやられる』とは、深追いは禁物、欲深い買い増しは相場が逆転した場合には逆効果となり、損失を被る可能性があるという意味の格言です。
資金に余裕があるからといって、もっと儲けを増やしたいといって買い増しを続ける銘柄に限ってそこが天井と裏目に出る事が多いものです。
また、既に最初の買い値からは上昇している状況の為、取れる利益幅も当然小さい上に高値掴みになる可能性もあります。
こうした場合、少し下がっただけでも儲けが消えて下手すれば大損に繋がってしまいます。
信用取引の場合は特に注意すべき格言であり、買い増しの際にはその銘柄だけでなく相場全体が天井圏にあるか、あるいは、ないかを注意しましょう。
株で大きく儲けたければ売上をみよ
『株で大きく儲けたければ売上をみよ』とは、利益だけに目を向けるのではなく企業業績や売上成長等に注目して銘柄を選べば大きく儲けるチャンスがあるという意味の格言です。
基本的には企業の売上が増加し、利益も拡大している場合、株価も上昇する可能性が高く株主として大きな利益を得る事ができるとされています。
また、テクニカル分析一辺倒で売買を判断するのは危険であります。
結局、株価は長期的には会社の実態を反映したものであり、会社のトップラインである売上が確実に伸びているか、または、今後伸びるか、さらには、社長が会社を成長させられる器かをきちんと見極めななければいけません。
事件会社の株は敬遠すべし
『事件会社の株は敬遠すべし』とは、企業が社会的な事件や不祥事を起こすとその企業は社会から批判の的とされ、先行きが不透明な事から投資は避けるべきだという意味の格言です。
事件や不正行為が発覚すると株価に大幅な下落が生じる可能性がある為、リスクを避ける為にも投資を敬遠する事が推奨されています。
『危うきは避け、疑わしきは待つべし』という類似の格言もあり、一般投資家としては事件会社については事件が落ち着くのを待つか、あるいは、はじめから投資対象としない方が安全と言えます。
初心者の方は特に注意しましょう。
財界の見通しより相場の足取り
相場は財界の見通しや経済への影響力がある人物の発言よって動く場合もあります。
しかし、多くの場合、相場の動きは景気の波とは直接関係なく動くものの為、経済の動きは参考程度に留めておき、相場そのものの足取りに注目すべきであるという意味の格言が『財界の見通しより相場の足取り』です。
相場の動向は多くの情報を包括し、相場参加者の意思決定を反映している為、相場の足取りを確認する事が何よりも重要です。
つまり、この格言はそうした見通しには日々の相場の観察によって得られた印象と乖離したものも多いという経験則を述べたものと思われます。
国策には逆らうな
『国策』とは、日本政府や日銀が行う経済政策の事を指し、アメリカでは大統領やアメリカ政府、連邦準備制度理事会(FRB=FED)に当たります。
国家や中央銀行が行う政策は経済活動や企業業績に影響して株式市場や為替市場の大きなトレンドを形成する力があり、それに逆らう事は相場でのリスクを高める可能性がある為、国策に逆行している銘柄は売却した方がいいでしょう。
つまり、『国策には逆らうな』とは、国策と逆行した売買をしてはいけないという意味の格言です。
米国にも同様の『FRBには逆らうな』という格言があります。
商いを仕掛ける時はまず損金を積むべし
『商いを仕掛ける時はまず損金を積むべし』とは、投資や商いを行う際には最初に損失を考慮しておく事の大切さを説いた格言です。
人は株の売買をする時には勝つ事を中心に物事を考えがちですが相場では常に利益が出せるわけではなく損失を出してまう事もあります。
それに準じて、予め最悪の事態を考慮し、予想とは逆行した時の最大損失がいくらになったら損切りするかを考えて売買に入り、自己の思惑に反した時は機械的に手仕舞う事が重要です。
負けようと思って投資をする人はいないでしょうが常に売買注文を出した時は最悪の事態を想定して逆指し(損切り)の注文を同時に出しておけば自分の思惑と逆の動きになってしまった時にパニックにならずに済むでしょう。
買い二分に売り八分
ここでの『二分』と『八分』とは、20%と80%の事を指し、投資における重要度は買いのタイミングが20%、売りのタイミングが80%という意味です。
『買い二分に売り八分』とは、株式投資において利益を上げる為には買いのタイミング以上に売りのタイミングが重要であるだという意味の格言です。
どれだけ安値で買えたとしても売りのタイミングを間違えてしまっては利益になりません。
少々買いのタイミングを間違えて高値近辺で買ったとしても売りのタイミングを間違えなければ利益を上げられるからです。
このように株で利益を上げる為には買いのタイミング以上に売りのタイミングがより重要とされています。
勝ちは四分をもって善しとす
『勝ちは四分をもって善しとす』とは、戦国武将武田信玄の哲学「勝ちは六分をもって善しとす」のから、相場では「玄人五分、素人三分」の勝ちでで善しとし、欲を出しすぎてはいけないという意味の格言です。
相場において貪欲に利益を追求するよりも適度に手仕舞いを行い、分散投資やリスク管理を考慮する事が重要であると教えています。
自分の気持ちの中で四分の勝ちで手仕舞う余裕を持つ事が大切です。
天井を売らず、底を買わず
『天井で売らず』どこで売るのでしょうか?
『底買わず』底で買わないでどこで買うのでしょうか?
ここは「天井売れず、底買えず」といい直した方が分かりやすいでしょう。
天井や底は見極めるのが難しい上、ピンポイントで当てられるものではありません。
むしろ、天井で売ろうなどと思っていると利食いのチャンスを逃してしまい、一方、底値で買おうと思っていると投資のチャンスを逃がしてしまいます。
故に、『天井を売らず、底を買わず』とは、天井で売る事にこだわらず、ある程度の安値で買ってある程度の高値で売って利益を積み重ねる方がよいという意味の格言です。
価格の最も高い天井を見極めて売ろうとし、一番安い底を確認して買おうとするのは非常に難しく、チャンスを逃しやすい為、元来が無理な事をやろうとはしないで流れを確認してから天井や底の近辺で売買をすれば十分でしょう。
しかし、実際の天井や底を見届けてから売り買いしても同じ八分目には違いませんが、「高値おぼえ、安値おぼえ」の心に邪魔をされる恐れもあります。
それに準じて、この戦法を取る時には固い決心が必要となります。
売り買いは腹八分
『売り買いは腹八分』は、2つの意味を持っています。
1つは、天井で売ろう、あるいは、底で買おうと欲張った考えは持つなという戒めの意味と、もう1つは相場に向ける資力は適当にとどめ、決して全財産を投入するなという意味です。
前者は実際の天井、あるいは、底の値段は誰にもわからないのだから自分でそろそろと思ったら売り時、買い時だという心を、後者は株式投資は家族の暮らしに必要な生活資金は避けよという心を教えています。
人間の欲というものは実に厄介で少し儲けが出るともっと儲けたいと思うものであり、その欲に引っ張られたばかりに本来取れていた儲けを逃すような事もしばしばです。
つまり、期待しすぎて機会を逃すのではなく何事も八分目くらいで我慢しなさいという事でしょう。
頭と尻尾はくれてやれ
『頭と尻尾はくれてやれ』という格言は相場の大底と天井を頭と尻尾に見立てて生まれました。
投資家の心理として理想的には大底で買って天井で売り、最大の利益を得たいところです。
しかし、そのような事はほんど不可能で失敗しがちであり、まずできないでしょう。
それに準じて、「大底や天井を確認してからそこから少し高くなったり、安くなったところで売り買いを行えばよい。
頭と尻尾(天井や大底)は少し残し、欲を出さないようにせよ」という戒めの格言が『頭と尻尾はくれてやれ』になります。
もっと上がるかもと思って売りのタイミングを逃したり、もっと下がるかもと思って買いのタイミングを逃してしまっては元も子もありません。
頭と尻尾を欲張って取ろうせず、余裕のある投資を心がけましょう。
心動けば相場に曲がる
『心動けば相場に曲がる』とは、思惑以上に相場が動くとそれが含み益であれ含み損であれ、心が動いて冷静な判断が出来なくなってしまい、相場勘もだんだん曲がってくるという意味の格言です。
せっかく手間暇かけて練った戦略に従っていても相場の動きによってその度に判断に迷いは生じがちです。
『心動く』とは、そうした戦略上の自分で決めたルールがあるにもかかわらず、目の前の値動きで迷いが生じて利食いの場面でもっと利を乗せようとしたり、損切りの場面で損失は嫌だという感情から損切りを躊躇ってしまうような状態をいうのでしょう。
仕掛けはたやすく、手仕舞いは難し
『仕掛けはたやすく、手仕舞いは難し』とは、取引を始める事や新規の建て玉を建てる事は比較的容易でありますがそれを適切なタイミングで手仕舞いする事は難しいという意味の格言です。
仕掛け時には当然、ここで買う、あるいは、売るから利益が見込めるという意識のもと仕掛ける為にそこまで心理的負担はありません。
しかし、仕掛けと違って手仕舞いの時は建て玉に実際の損益が発生している為、儲かっている時は欲が出てしまいますし、損している時は損切りに躊躇したりしてしまったりと感情が取引の邪魔をしてくるからです。
いずれにせよ適切なタイミングを見極めるのは困難である為、手仕舞いには慎重な判断と対応力が求められます。
仕掛けは処女のごとく、手仕舞いは脱兎の如し
『仕掛けは処女のごとく、手仕舞いは脱兎の如し』とは、取引を始める時は慎重で純真さが求められる一方、建て玉の利益確定や損切りをする時は素早く行動する事を指す格言です。
しかし、利益が上がっていても損になっていても手仕舞いは難しいものです。
株式投資で撤退の決断ほど難しいものはないからです。
どちらにあっても手仕舞いの決断と行動は早い者が勝ち札を持つ事になる為、損に関しては脱兎のごとくとはいかなくても大きくしないようしたいです。
仕掛けのタイミングも大切でありますが損勘定になっている時に投げたり、買い戻したりはなかなかできないものだからです。
相場道の極致は手仕舞いにあり
『相場道の極致は手仕舞いにあり』とは、含み益が出ている建て玉を適切なタイミングで手仕舞いをする事が相場の真髄であるという意味の格言です。
利益を確保する知恵や技術が相場で成功する為には不可欠であり、それが相場の道を極める事に繋がるとされています。
また、含み益が目前にある時にその利益を確保する事はリスク管理や感情的な取引からの解放にも繋がります。
後悔に二つあり。早手仕舞いは笑うてしまう後悔なり。欲に迷い手仕舞い遅れるは心痛む後悔なり
手仕舞いするタイミングは早すぎても遅すぎても後悔するものです。
しかし、早めに手仕舞いをしてしまって利益が少ない方が手仕舞い遅れによって利益が目減りしたり、損失が出るよりは良いという意味の格言が『後悔に二つあり。早手仕舞いは笑うてしまう後悔なり。欲に迷い手仕舞い遅れるは心痛む後悔なり』です。
格言通り、早売りした時の後悔よりも利益があったのに欲張って手仕舞い遅れて逆に損失になった時の後悔の方がより大きいものです。
早売りや売り遅れをしないよう日々研鑽する事が大切です。
利食い急ぐな損急げ
時間は利益も損失も拡大させる可能性があります。
しかし、多くの人は持ち株全体の評価損が増えた時、少し利益の出た銘柄を売り、損銘柄は放置してしまいがちです。
含み損の拡大を恐れる余り、含み益が乗る銘柄を早売りし、含み損の増える銘柄を温存する間違いを犯してしまいます。
相場の基本は損をしない手段を講じる事が先ず第一です。
つまり、『利食い急ぐな損急げ』とは、上昇相場に乗れて建て玉に含み益が乗った状態の時は一時的に相場が反対に動いても含み益は多少減る程度であり、慌てて利食いする必要はありませんが、逆に、含み損を抱えているのに損切りのチャンスを失った場合は損失が拡大するだけの為、損切りは躊躇ってはならないという意味の格言です。
この格言は損小利大を目指す事の重要性を表しています。
損切りは早く
『損切りは早く』とは、含み損が出てしまっている銘柄の損切りは素早くやれと説いている格言です。
なぜなら、含み損が出ている銘柄はその後さらに大きく値下がりする可能性があったり、また、損切りの決断ができずに損失を大きくすればそれだけ資産が減ってしまうからです。
それに準じて、人は常に判断を誤る事もある事をわきまえ、相場の動きが自分に不利になった場合は感情に囚われずに冷静な判断を下し、早めに損失を止めなければなりません。
損切りを定めながらも行動の出来ない人が多いですが損切りは早めの決断をして次に有望な銘柄に取引を繋げましょう。
うっかり仕掛けは見切りが良策
相場が保ち合う目先が不透明な相場状況で確信が無いまま仕掛けるのは賢明とは言えません。
このような状況でうっかり仕掛けてしまった場合には一旦仕切って体制を整えるべきであるという意味の格言が『うっかり仕掛けは見切りが良策』です。
相場での取引において無計画や衝動的な仕掛けは避けるべきであり、冷静な判断と慎重な取引が重要である事を意味します。
未熟な判断や感情的な取引は損失を招く可能性が高くなる為、慎重さと冷静さを持って取引を行う事が重要です。
見切りを早むるとも、断じて遅らすなかれ
相場には流れがあり、その流れに棹差する投資法もあります。
しかし、判断が遅れると含み損が拡大し、取り返しのつかない事になりかねない為、見切りは断じて遅れてはならないという意味の格言が『見切りを早むるとも、断じて遅らすなかれ』です。
つまり、含み損が発生した場合も迷わずに損切りし、損失を広げる事なく損失を抑える事が重要とされています。
迷わば売れ
『迷わば売れ』とは、相場が上がるか下がるか迷った時は売りなさいという意味の格言です。
相場の行方が見えにくく上がるか下がるか分からない状況で迷いがあるまま建て玉を保有していて含み益が減ったり、あるいは、含み損が拡大した時の後悔は大きいものです。
建て玉にどのくらい利が乗っているかで判断は分かれますが迷った時に保有している理由はない為、売って身軽になるのも得策です。
逃げる時は迷うな
『逃げる時は迷うな』とは、勝てる見込みのない時や含み損が拡大している時には迷わず脱兎のごとく損切りしなさいという意味の格言です。
思惑と逆にいって含み損を抱えた時にその銘柄が戻る理由や確信がない限り、戻りを待っていても状況が更に悪化する場合もあるからです。
損失を最小化する為に冷静、かつ、迅速に判断し、必要なタイミングで撤退する事が相場で成功する為の重要なスキルです。
自分でどうやっても見込みのないと思ったのであれば迷わず損切りして逃げましょう。
しまったはしまえ
『しまったはしまえ』とは、失敗したと思ったらすぐに手仕舞いしなさいという意味の格言です。
相場では今この株を買うと儲かると思って飛び乗る場合もありますが逆の目の出る事も多いものです。
そんな時、自分でしまった、あるいは、失敗したと思うのであれば即座に買ったものは売り、売ったものは買い戻した方がいいでしょう。
儲けるという漢字は信じる者と書くように投資では自分の考えを信じる事がまず第一です。
建て玉の株価の動きが自分が失敗したと思っている方向と同じであれば保有する必要はありませんし、ましてや運よく反転する事を祈る事は投資ですらないのです。
引かれ玉は投げよ
『引かれ玉』とは、含み損になっている建て玉の事を指します。
『引かれ玉は投げよ』とは、投資や取引で含み損を抱えている場合には自分が銘柄の選定や売買のタイミングを間違えた結果なのだから見切りを付けて潔く損切りしなさいという意味の格言です。
含み損を持ったままでは心理的に負担がかかり、売買の判断に支障が出たり、保有したままでは損の上に損を重ねて含み損が拡大する可能性もあるからです。
しかし、多くの人は含み損を確定したくないが故に価格が上昇するのを待ってしまう事が多いものです。
その結果、そういった銘柄はさらに値下がしてしまい、含み損がさらに膨んだ所で投げ売り相場から退場を余儀なくされています。
損玉を決断早く見切る事、これ相場の神仙と知れ
『相場の神仙』とは、相場の天才や達人の事を指します。
『損玉を決断早く見切る事、これ相場の神仙と知れ』とは、建て玉が含み損になった時には素早く損切りしなさいという意味の格言です。
この損切りを素早くできるという事は相場の神仙が行うような凄い事であるという意味であり、成功する投資家の資質を示しています。
相場で成功する為には感情に左右されずに損切りの判断を早く行う事が重要です。
見切り千両、損切り万両
買った株が値下がりした時の投資家心理は言葉では言い表わせないほど辛くものです。
居ても立ってもいられないジリジリした気持ちに襲われ、迷い始めてしまい、多くの人は自分の下した判断に未練を残し、株価が戻る事を期待してそのまま持ち続けてしまいます。
しかし、株価はなお下がり続ける一方で、ついにはとんでもない安値で投げざるを得ない羽目に陥り、少しくらいの損ならさっさと売っておくのだったと後悔する事になるのです。
そこで、『見切り千両、損切り万両』という格言が効いてきます。
損には違いないが含み損が小さいうちに見切りをつける事は千両の価値があり、損失を拡大させない為にある程度覚悟を決めて損切りする事にはその10倍の万両の価値があろうという意味の格言です。
含み損を抱えているポジションをそのまま持っているとさらに株価がマイナス方向に動いた場合に損失が拡大してしまう為、このような格言が言われるようになりました。
この格言ほど分かっていて実行しにくいものはありませんが含み損を抱えている建て玉を素早く諦める事には大きな価値があるのです。
最初の損は最良の損
初めて株式取引をした時に儲けてしまうと自分の腕だと自分には才能があると過信してしまい、大きな金額をつぎ込んで大損する事があります。
つまり、ビギナーズラックで自分の腕を過信すると後々痛い目を見ます。
しかし、投資を始めた初期段階で損をした方が将来的な大きな損失を回避する為に相場の研究をするようになって後々には良い結果をもたらすという意味の格言が『最初の損は最良の損』です。
初めのうちは経験や知識が不足している為、損失を被る事も多いかもしれませんがそれを学びと捉えて成長し、より良い投資に繋げるべきという教訓を示しています。
損して休むは上の上
自らの感と知識に頼り、頻繁に売買を続ければ続けるほど損を重ねてしまいます。
そんな時、相場で取り戻したいという思いがある時は相場に参加してはいけません。
その損失を一気に取り戻そうと無理に売買をすると冷静さを失ってしまい、さらに損失を大きくしかねないからです。
それに準じて、『損して休むは上の上』とは、取引や投資で一時的な損失を被った場合は利益の出ない売買方法を反省し、ゆっくり休んで頭を冷やす事も大切であるという意味の格言です。
少し負けた時点でその場を離れるという冷静さを持つ人は全資産を失う事はないでしょう。
評価益は益と思うな、しかし評価損は実損である
『評価益』とは、含み益の事で『評価損』とは、含み損の事です。
評価益、および、評価損はどちらも取引を終了するまでは幻の利益、および、幻の損に過ぎないという点ではどちらも同じであります。
大半の人は含み益が成長すると儲かった気分になれる為、益、あるいは、それに近いものと感じてしまいます。
しかし、含み損は今後も拡大する可能性もあり、資金が固定され、機会損失を投資家に与える為、素直に実損と認める事が賢明であるという意味であり、損失を受け入れる事を認めたがらない人の傾向を戒める格言が『評価益は益と思うな、しかし評価損は実損である』です。
株は売り放すまで利益を得たとは言えない
『株を売り放すまで利益を得たとは言えない』とは、まだ売って確定していない幻の利益を当てにしてはいけないという意味の格言です。
含み益はあくまで含み益であり、いくら上がっても実際に売らないと利益は確定しません。
また、突発的な相場変動が起きて相場が急落すると1日で含み益が吹き飛び、含み損になる事も往々にしてあります。
含み益を伸ばす事も大事ではありますが含み益だけに慢心せず、確実に利益を確定してから儲けたお金は使うようにしましょう。
勝ちに誇らず利入れ場は完全に
『勝ち』とは、含み益の状態の事を指します。
『勝ちに誇らず利入れ場は完全に』とは、建て玉に利が乗った時に調子に乗って欲張りすぎると大損を招く事になる為、慎重に利食いする事が大切であるという意味の格言です。
目標の含み益に達した時、その高揚感も手伝ってここまで行けたのだからまだ利乗せできるかもしれないという気持ちになりがちなものですが、それがここでいう勝ちに誇るという状態です。
こういう気持ちになった時にそれを抑えるのは難しいでしょう。
順に居て逆を忘れず、逆に居て己を捨てず
『順に居て逆を忘れず、逆に居て己を捨てず』とは、相場が思い通りに動き、順調な時こそ相場が逆に動く事がある事を油断せず、また、自分の判断と逆に動いている逆境にいても冷静になって自暴自棄にならなず相場を見る事が大切であるという意味の格言です。
相場においてはいくら調子が良くても慢心になった時には思いがけない悪い状況に陥る時がある為、常に気持ちを引き締めて油断しない事が大切です。
また、自分の思惑と逆にいってしまって苦境に立った時ほど冷静沈着に行動しなければなりません。
心が乱れたままで相場に入ると得てして悪い結果になる事が多いものです。
利食い極楽、損地獄は背中合わせ
『利食い極楽、損地獄は背中合わせ』とは、投資において儲けと損は背中合わせのものであり、利益を確定させる事は快感や満足感を与える一方で、損失を被る事は苦痛や地獄のような経験をもたらすという意味の格言です。
相場では少しの判断のズレや思わぬ相場の変動で建て玉の損益が真逆になりかねません。
それに準じて、利が乗っているからと油断していると大損を招く事もあります。
逆に、損失に気持ち沈んでいてもすぐそばには利益を生みそうなチャンスが訪れていたりします。
損する忍耐より儲ける忍耐
『損する忍耐より儲ける忍耐』とは、含み損を我慢するより含み益を伸ばす事の方が一層忍耐力が必要になるという意味の格言です。
建て玉に含み益が乗ってくるとその幻の利益を失いたくない気持ちから早々に売ってしまい、逆に含み損になっている時には戻りを信じて忍耐強く保有してしまう投資家は多く心理的にも致し方ない部分があります。
しかし、相場で儲けるのはその逆の行動が必要になり、含み益が乗っている時はできる限り伸ばし、含み損になっている時には損切りを躊躇わず、利益を大きくして損失を小さくする事が必要なのです。
損は小さく、儲けは大きく
『損は小さく、儲けは大きく』とは、損失は最小限に抑えて利益は最大化しましょうという意味の格言です。
つまり、含み損は早めに損切りして含み益は積極的に伸ばすべきであるという考え方です。
相場で儲ける為には流れに乗って含み益を伸ばす取引を多くする事が必要です。
しかし、目先の小さな利益を小まめに取っていても1回の損失で全ての儲けを失う事もあります。
そんな時、1回の取引において損失をできる限り小さくして利益を伸ばす利大損小の取引を行う事で総合的な成績を向上させる事ができます。
利食い腰は強く、引かれ腰は弱く
『利食い腰は強く、引かれ腰は弱く』とは、含み益が出ている時は粘って伸ばし、含み損になっている時は早めに損切りしなさいという意味の格言です。
建玉に含み益が乗った時には多少相場が下がっても慌てて決済する必要はなく利を伸ばす事を考えてみてもいいでしょう。
しかし、相場が逆行し、含み損が発生した時は損切りのタイミングを図って建て玉を持ちすぎるとリスクが大きくなる可能性もある為、早めに損切りをしましょう。
相場の流れに乗って含み益を伸ばし、逆に含み損は大きくならないうちに損切りをする事が大切なのです。
利食いは腹八分
買った株の価格が上がってくるとついもっと上がると思い、さらには天井で売ろうと考えがちです。
しかし、含み益が出ていてもどこが天井かは誰もわかりませんし、それを利食うまでは含み益がいつ目減りしてしまうかもわかりません。
そこで、『利食いは腹八分』とは、まだ上がると思っても欲を出しすぎず腹八分で利食うのがよいという戒めの格言です。
最大の敵は欲であります。
あまり欲張ると逆に売り時を逃したり、逆に損失を出す事にもなりかねません。
故に、含み益に喜んでさらに利益を追い続けるのではなく欲張らずに腹八分目程度の適度な所で利食いましょう。
利食いは器量
『利食いは器量』とは、利食いの上手さがその人の器量を表すものだという意味の格言です。
建て玉に含み益が乗ってくると幻の利益が逃げないか心配になり、すぐに利食いしてしまったり、欲が大きすぎて利食いのタイミングを逸し、含み益が消えてしまったりする等、利食いは自分の欲望との戦いやタイミングを掴む事が難しいです。
以上から最終的な利食い幅はその人の器量並みであり、器量の大きな人ほど利食いも大きくなるという事です。
経験豊かな相場巧者ほど利食いが上手いものです。
利食い千人力
『利食い千人力』とは、利食いには千人の味方をつけたほどの心強さがあるという意味の格言です。
買った株が値上がりすると含み益が発生します。
しかし、保有している株式が値上がりしてもそれを利食うまでは利益を得た事にはならず、含み益は相場の動向次第ですぐに吹き飛んでしまうものであり、いつ目減りしてしまうかもわかりません。
もっと上がるのではと思って持ち続けていても必ずしもそうなるとは限らないものです。
しかし、一旦利食ってしまえば価格がその後に下落してしまっても関係はない事からそれだけ利食いは心強いものだという事を表した格言です。
自分が当初立てた戦略通りの株価になったのであればさらに利益を追うような事はせず、そこで利食いをして確実に利益を取り、勝ったという結果を残しましょう。
また、含み益が乗っていて取引を継続すべきか、決済すべきか迷うような時も堅実に利食いましょう。
出来高は人気のバロメーター
『出来高』とは、相場の人気がどの程度あるかを測る物差しの事を指します。
『出来高は人気のバロメーター』とは、株式市場における出来高は投資家やトレーダーの関心や参加を示す指標となるという意味の格言です。
出来高が多い銘柄は相場参加者が注目している可能性が高く相場の人気度や相場の動向を把握する上で重要な要素とされます。
例えば、東証一部の一日の売買高が二十~三十憶株を大きく超える日が何日も続くと相場は加熱していると判断され、逆に、二十憶株を大きく割り込む日が何日も続くと相場は閑散としていると判断されます。
また、個別銘柄でも売買高が急増し始めると株価が上昇する可能性が高いと判断されます。
下値圏出来高増加は要注目
『下値圏出来高増加は要注意』とは、下値圏で出来高が増えた時は動機付く前兆である為、注意が必要であるという意味の格言です。
下値圏で材料もないのに出来高が据えた時は売り圧力の強まりや買い意欲の低下を示す事があります。
中にはインサイダーで材料を入手した人達が売っている場合もある為、このような状況では相場の変化に敏感に反応する必要があります。
下値圏のみならず出来高の変化にはヒントが隠されている事が多いものです。
買いは家まで売りは命まで
この格言の『家』や『命』は例えであって、言いたい事は買いと売りどちらも大きなリスクがありますが、売りの方はもっとリスクがあるよという事です。
信用取引はレバレッジがかかっている分、失敗した場合のダメージが大きくなりますが、信用取引で買って失敗すると家を売らざるを得なくなるほど大損をしてしまいます。
さらに、信用売り(空売り)で失敗すると家どころか命まで奪われるほどの損失を被る危険性があると説く格言が 『買いは家まで 売りは命まで』です。
買いの損失は限定的なのに対し、売りの損失は無限大なので命まで危険になるという事を意味しています。
特に空売りの場合、理論上損失は無限大に拡大する恐れがある為、信用買いの場合よりもリスクが高くなります。
おわりに
以上が、「投資のコツと心構え編 〜投資で負けない為に役立つ格言〜」です。
昔から伝わる相場に関する格言を皆さんもどこかでお聞きになった事があると思います。
投資は人間心理のゲームとも言える為、その人間心理をついた格言が人々の心を打ち、長く言い伝えられてきているのでしょう。
現代は株式やFX、仮想通貨等、様々な投資が行われていますが何百年経過した今でも投資で心がけておくべきポイントや心理状態が投資に及ぼす影響が大きい事には変わりません。
何故なら、米相場でも株式相場でも為替相場でも相場の最終判断をするのは人間であり、人間の心理は古今東西を通じて大きく変わっていないからです。
相場格言を知っておくと取引が上手くいかずメンタルが乱れそうな時に精神状態を立て直すのに役立つでしょう。
また、投資をしていると投資判断に迷ってしまう事も多々ありますがそんな時にもこの相場の格言に耳を傾けてみれば何か答えが見つかるかも知れません。
先人達が経験をもとに作り上げた投資格言を活用し、平常心で投資に臨んでいきましょう。